「共感覚」理解促進活動とは
保護者や指導者向けの理解促進活動「共感覚」に関する経験を共有し、誤解や偏見を避けるための活動をしています。
共感覚について指導者・保護者に知ってもらうため、また共感覚者が少数派であるために悩んだり、傷つくことがないように、
正しい知識の普及と理解を促進していきます。
・幼少期に共感覚を持ち、その経験を活かした教材開発や理解促進活動に取り組んでいます。
・共感覚の話をすると「共感覚は病気」とか「才能がある人が多い」といったことを言われるようになり、正しい知識を広める意義を感じています。
・共感覚を持つ子どもたちが、社会の中で自分らしさを発揮できるよう支援しています。
お知らせ
・2024年5月一般社団法人共感覚研究所Q&A4コマ漫画の制作を担当をさせていただきました。(ブログはこちら)
・2024年4月一般社団法人およりラボ「発達凸凹さん当事者カフェぷりずむ」ゲスト講師をさせていただきました。
共感覚とは(1)
共感覚とは、ある感覚や認知的処理を引き起こすような情報入力により、一般的に喚起される感覚や認知処理に加えて、他の感覚や認知処理も喚起される現象です。誰もが体験できるわけではなく、例えば各文字に特定の色を感じる色字共感覚者の保有率は1.4%、すなわち約70人に1人と見なされており、この保有率は、国籍や民族、言語によらず、ほぼ一定と考えられています。
(1)出典:一般社団法人共感覚研究所,Q&A,https://www.sraj.or.jp/qa(2024.6.1閲覧)
・浅野倫子・横澤一彦(2020),共感覚-統合の多様性-,勁草書房
共感覚を研究するようになったきっかけ
子どもの頃、私は「共感覚」の持ち主でした。共感覚は、文字や数字、音などがそれ自体で示す情報に加え、それ以外の感覚が引き起こされる現象です。
研究を進めるにつれて、そもそも私が共感覚だと思い込んでいただけでははないか、共感覚が途中で薄まる、またはなくなることはあるのだろうか、そんな疑問すら湧くようになり大学院で「自分研究」をした経緯があります。
共感覚に気付いた高校時代
高校生の頃にたまたま見たドキュメンタリーで自分が共感覚を持っていたことに気づきました。高校生になった頃には、共感覚は薄れていましたが、自分の中の不思議だった出来事が解明できて、すっきりしたのを覚えています。
幼児期・学童期は、文字や数字に「色」が付いていました。友達の電話番号や車のナンバーなどを一度見たら記憶できていましたが、高校生になると記憶することが難しくなっていました。これが共感覚を研究するきっかけとなり、感覚と学習の密接な関係に気づくこととなりました。
幼児期の体験談
幼児期のころには、共感覚による不自由は感じませんでした。
車のナンバーや住所などを見るのが楽しかったです。車のナンバーや住所を見て、数字がきれいな色の並びだと素敵な車やおうちだと思い、暗い色が並んだナンバーや住所を見ると、かわいそうな車やおうちだな、などと思っていました。
しかし、不思議に思ったことはあります。
私の名前は「みどり」です。しかし、みどり色ではなく「ピンク色」だったので不思議に思い、両親や保育士、小学校の先生に聞くのですが、誰も教えてはくれませんでした。
自分の特性を早く知りたかった
両親は、私のそんな様子を見たり、指導者に指摘されても、「ときどき不思議なことを言う子」と思うくらいで、さほど気にもせず、そのままを受け入れてくれました。とてもありがたいことです。
でも、もし、両親や指導者がもっと早く気づいてくれたなら、学ぶ方法を少し変えたり、工夫をすれば良かっただけだったのかもしれません。これらの経験から、子どもたちが持つ「特性」に合った学習法を見つけ、得意なところを伸ばし、苦手なところを減らすために研究を続けていく意欲を抱くようになりました。
共感覚の理解促進活動をはじめる
共感覚の話をすると、「共感覚は病気」とか「才能がある人が多い」といったことを言われるようになり、正しい知識を広める意義を感じるようになりました。
共感覚に限らず、「少数派」は平均を求める日本の教育では、良くも悪くも時に不自由だったり、不快な思いをすることが少なくないことに気づ来ました。現代社会では、多様性が尊重されるべきであり、少数派の個々の特異性が生かされるべきだと考えます。このような価値観の転換が、より豊かで包括的な社会の形成に寄与することを期待しています。